私の思い

あたらしい憲法のはなし

2017年8月10日

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 「みなさんあたらしい憲法ができました」で始まるこの本は、日本国憲法が公布されて10か月後の1948年8月、文部省によって発行され、全国の中学1年生の教科書として学んだそうです。

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 今度の憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことを決めました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争そするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戦力の放棄といいます。「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、自分のいいぶんをとおそうとしないときめたのです。おだやかに相談をして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、自分の国をほろぼすことになるからです。戦争とゆかずとも、国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことに決めたのです。そうしてよその国となかよくして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです。みなさん、あの恐ろしい戦争が、二度とおこらないように、また戦争を二度とおこさないようにいたしましょう。

 人間の上にもっとえらい人間があるはずはなく、人間の下に、もっといやしい人間があるわけはありません。みな同じ人間であるならば、差別を受ける理由はないのです。差別のないことを「平等」といいます。憲法は自由といっしょに、この平等ということをきめているのです。国の規則の上で、何かはっきりとできることがみとめられていることを、「権利」といいます。自由と平等とがはっきりとみとめられ、これを侵されないとするならば、この自由と平等とは、みなさんの権利です。

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「地方公共団体」 こんどの憲法では、地方自治ということを重くみて、これをはっきりきめています。地方公共団体にも、その地方に住む人を代表する「議会」がなければなりません。また仕事をする知事も、議員も地方に住む人が、じぶんで選挙することになりました(文章はそのままです)

 この教科書は、当時の中学生、教師、父母に感動と希望をよびおこしたそうです。残念ながらこの教科書は、2~3年使われただけで、日米安保条約が結ばれ、「警察予備隊」が「自衛隊」に変わり、教室から姿をけしたと書かれています。

 あらためて読むと憲法の崇高な精神を学ぶことができます。国際平和主義では、自分の国のことばかりを考え、ほかの国の立場を考えないでは、世界中がなかよくしてゆくことはできません。世界中の国がなかよくやっていくことを、「国際平和主義」といいます。民主主義ということはこの国際平和主義とたいへんふかい関係があるのです、と標されています。

 明後日新婦人のKさんにお返しする前に、皆さんに是非お知らせしたくて載せました。子どもたちに見せたい教科書です。