社会問題

虐待から子どもたちの命を守るために!

2018年6月11日

子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会が発行(2018、3、18)の国連子どもの権利委員会への報告書「日本における子ども期の貧困化」を読みました。

 19章 子ども虐待と20章 児童相談は、まさに虐待による子どもの死亡について権利委員会から日本政府に対して勧告すべき内容を提案しています。「子ども虐待は、日本における社会問題のひとつであり、その対策はあらゆる点で欧米諸国におよそ30年の後れを取っていると言われている、この問題に関わる者の真剣さが問われている」と記述されています。

 私たち共産党県議団は、今まで児童相談所や一時保護について決算・予算特別委員会で繰り返し取り上げてきました。そして児童相談所や児童養護施設、自立支援施設、乳児院、子どもの虹などを視察してきました児童相談所の児童福祉士、児童心理士など専門職の増員、一時保護所の充実、誤認保護の防止、市町村や関係機関との連携強化などを要望してきました。

 罪もない幼い命を失う死亡事例は、虐待のもっとも悲惨な結末です。報告書には、日本の子ども虐待対応の弱点のひとつは、子どもを虐待するに到った、あるいは両親の状況および環境への配慮が不足していることにある。虐待のケアに関する体系的プログラムを持ち合わせている行政機関はわずかであり、司法がそのケアを受けるよう命じることも行われていない。日本の子どもの虐待対応には虐待親もまたケアの対象である視点がないと指摘しています。

 今回の5歳の亡くなった女の子は、父親から暴力を受けていたこともあきらかだったのに、一時保護を解除し親のもとへ戻しました。家族再統合を目指すことが優先され、親に引き渡すことで子どもが殺されるかもしれないと認識しなかったのでしょうか。

 国連子どもの権利委員会の第3回最終所見では、民法上の「親権」概念が、「包括的支配」権を親に与えていることを指摘しています。

 今後、困難なケースに対応するための専門性をもった職員の育成や充実、困難をかかえる家庭への支援体制の強化なども含めて、これまでの事例を検証し二度と悲しい出来事が繰り返されないよう自治体も国も取り組むことが必要です。何よりも子どもたちの命を守るために!